この記事では、米国株の100年の推移を振り返ります。 まず100年のリターンを確認した後、最近の10年間の資産推移について確認します。 100年の歴史の中で、ここ10年の値動きが上がりすぎなのか?という視点に立って検証してみます。

約100年の実績指数を見る

まず、1926年6月を100とした実績指数を、全期間の平均と中央値、下位16%と上位16%の境界線と重ねます。 ここでいう実績指数は、Kenneth French Data Libraryの米国市場の月次リターン(Mkt−RFにRFを足し戻した、米ドル建て・配当込みのリターン)を複利でつないだものです。1 S&P500そのものや円換算の投信基準価額ではありません。 縦軸は対数軸です。 この全期間の曲線は、1926年7月〜2026年7月の全1201か月を使った月次グロスリターンの平均と標本標準偏差から計算した統計モデルの目安です。 全期間を振り返るための目安であり、後に示す10年間の比較とは推定に使う期間が異なります。 上下の線は、月次グロスリターンから算出した終端水準の平均と分散に合わせた対数正規近似の下側16%の線・上位16%の線です。

  • 実際の指数
  • 平均
  • 中央値
  • 上位16%
  • 下位16%

「実際の指数」は、過去の出来事を含む指数の軌跡です。 歴史を見ると、上位16%の水準を超えることもあれば、下位16%の水準を下回ることもあります。 1950年以降はおおよそレンジ内に位置していますが、期待水準よりやや下にあることが多いです。

過去10年の結果と、期間を変えた5つの期待水準を比較する

5つの図は、2016年7月を起点に2026年7月までの共通の120か月を表示し、起点の実際の指数を100にそろえています。 各モデルの期待水準は2026年7月までのデータで計算しており、表示区間と学習窓が重なる回顧的な比較です。 実際の指数はどれも変わりません。 終端水準は全モデルで402.0です。 期待水準はそれぞれ別の期間で集計しています。 100年、50年、30年、20年、10年モデルの期待水準を比較しました。

年率換算は、それぞれ

  • 100年:12.2%
  • 50年:13.4%
  • 30年:12.0%
  • 20年:12.8%
  • 10年:16.4%

となりました。

上側確率は、同じ平均と分散に合わせた対数正規近似で実際の終端水準以上となる理論上の割合です。

全期間と比較

  • 実際の指数
  • 平均
  • 中央値
  • 上位16%
  • 下位16%

過去50年と比較

  • 実際の指数
  • 平均
  • 中央値
  • 上位16%
  • 下位16%

過去30年と比較

  • 実際の指数
  • 平均
  • 中央値
  • 上位16%
  • 下位16%

過去20年と比較

  • 実際の指数
  • 平均
  • 中央値
  • 上位16%
  • 下位16%

過去10年と比較

  • 実際の指数
  • 平均
  • 中央値
  • 上位16%
  • 下位16%

まとめ

集計期間期待平均中央値標準偏差現在は上位何%か
100年316.3268.3197.624.1%
50年352.2313.5180.430.3%
30年310.4274.4164.022.1%
20年333.7295.5175.126.6%
10年455.1402.3240.650.1%

この5つを並べると、同じ2026年7月の終端値でも、どの期間を集計期間に選ぶかで「期待より高いか」の判定が変わります。 10年の集計期間で10年のデータを見ているので、10年の結果は中央値に近く、50%前後の位置にあります。 他の期間ではすべて中央値より上にあり、100年では上位24.1%、最もリターンの低かった30年では22.1%です。 過去のデータを参考にすると、今回の条件では実際の水準が上位16%から上位50%の範囲にある比較として読めます。

例えば、100年モデルの中央値268.3に対し、現在の水準402.0との差は133.7で、現在値を分母にすると約33%です。 下位16%の水準151.1との差は、同じ分母で約62%です。いずれも将来の下落確率や時期を示す予測ではありません。

本記事はあくまで一つの視点

ここで使った平均リターン、中央値、標準偏差、金利を含む評価方法やPER・EPSなどのファンダメンタル指標による比較を含め、米国株の水準を測る方法はほかにもあります。 このモデル内の位置は、将来の株価や下落時期を予測するものではありません。

参考資料

リンク先は2026年9月6日に確認しました。

投資判断に関する一般的な注意点は、免責事項を確認してください。

脚注

  1. 公式月次データのMkt−RFへRFを足し戻し、単純リターンを r=(Mkt−RF+RF)/100、グロス倍率を G=1+r として学習窓の平均と標本分散(分母は標本数−1)を計算しました。月次リターンが同じ分布から独立に出る近似で期待終端水準の平均と分散を伝播させ、推定した平均や分散そのものの不確実性は加えていません。終端水準はその平均と分散に合わせた対数正規分布で近似し、15.87%点・84.13%点と上側確率を計算しました。これは積み重ねた月次リターンの厳密な分布ではありません。表示区間と学習窓が一部重なる回顧的な比較です。 ↩