1年目に30%増え、2年目に30%減り、3年目に10%増えたら、累積リターンは何%になるでしょうか。
1.30 × 0.70 × 1.10 = 1.001なので、答えは約+0.1%です。
3期間を単純に平均した算術平均は約+3.33%です。 しかし、1年目に100投資して3年間持ち続けた場合は年率約+0.033%で資産が増えます。 これは幾何平均といいます。
累積リターンを説明したいとき、算術平均は答えになりません。 この記事では以降、始点と終点の積み上がりを表す幾何平均について話します。
この期間の月次幾何平均は約1.43%です。 この手法において、これを12か月複利で年率にすると、オルカンの過去の年率は18.6%になります。
1年ずつ切り取ってみる
ここでは、開始月を1か月ずつずらし、それぞれの12か月間の累積リターンを比べます。
- 2021年6月末から2022年6月末まで: 5.1%
- 2019年11月末から2020年11月末まで: 9.4%
- 2019年3月末から2020年3月末まで: -12.1%
上記に示した1年間の累積リターンは-12.1%~9.4%とかなりばらついていることがわかります。 切り取る期間によって、平均のリターンのブレがかなりあることがわかります。
全期間であれば正しいか?
- 実際の月末基準価額
- 値動きを均した一定成長曲線(同じ終点)
上の図は、白線の実績とピンクの一定成長線を比べたものです。 白線は実際の月末基準価額、ピンクの線は幾何平均通りの利益が毎年得られた場合の線です。 開始時点を100とすると、両方とも2026年7月末には375.21になっていました。 両方ともリターンの幾何平均は18.6%です。
実績指数が一定成長線を下回る期間がほとんどであることがわかります。 この手法において、2026年7月末までのオルカンの過去の年率は、幾何平均で求めると18.6%です。
18.6%という年率リターンは、オルカン設定来の93か月の始点と終点を結ぶ一定の月次複利率を年率へ直した値です。
期間を変えると、過去の答えも変わる
- 開始時点から各月までの年率幾何リターン
- 全期間の年率幾何リターン(18.6%)
上の図は、開始時点から各月までの年率幾何リターンと全期間18.6%を比べたものです。 有効93か月のうち18.6%を厳密に上回ったのは4か月です。
もう少しそれっぽいリターン
指数回帰をしてみる
- 実際の月末基準価額
- 指数回帰曲線
- 一定成長曲線
上の図の緑の線は指数回帰した結果のリターン16.6%をプロットしたものです。 幾何平均であるピンクの値動きよりも、値動きに当てはまっているように見えます。
それでもリターンが高く見積もられすぎている。
終点が実際の値動きと同じになる「18.6%」も、グラフの当てはまりが良い「16.6%」もオルカンの期待リターンとしては高く見積もられすぎています。
MSCI ACWI(円・グロス)の1987年12月31日から2026年7月31日までの年率は9.66%で、長い履歴ではおよそ10%です。 将来の前提は別の物差しですが、Vanguardの世界上場株式10年予測の中央値は5.3%(2.2〜8.3%)、BlackRockの予測はMSCI USA 5.80%、world ex-US 7.26%とされています。
これは、オルカンが登場した2018/10からの数年程度のデータでは期待リターンを正しく見積もることができないということを暗示しています。
方法・データ
計算には、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(ファンドコード253425)の基準価額を使いました。
データ提供元は三菱UFJアセットマネジメント「投信情報API」です。
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